今回は英語教育についてのブックレビューです。
3年前に読み、とても影響を受けたこちらの本についてまとめました。
人が言語を習得するときに、どのような手順を追ったらいいのかが書かれているため、おうち英語を実践なさりたい方も、ちょっと大人になっちゃったなあ~という方も参考になる本だと思います。
この本でわかること!
英語力だけにならない!英語を正しく学べば、頭のよい子は育つ。
英語を早期に学習すると、バイリンガルどころか、セミリンガル=どちらの言語も年齢相応レベルの学習言語能力(=CALP)に到達していない状態になるのではないか、深い思考レベルにならないのではないか…という疑問も頭の片隅に残ります。
ですが、英語学習を正しく行えば、論理力アップの最短ルートになる、と斎藤さんはいいます。
その、英語学習で頭がよくなるメカニズムが詳しく説明されています。
第二言語習得の方法論
SLA(=Second Language Acquistion=第二言語習得)とは、認知心理学・社会科学など、様々なアプローチを通じて、人間が外国語(=第二言語)を習得するときの一般的メカニズムを明らかにすること。
その方法論に基づいた学習法を継続していれば、ほぼ確実にマスターできる、と言い切っており、その方法について、年齢に合わせて詳しく記載されています。
社会もご家庭も英語を話し、英語を第一言語とし、生活のほぼ大半を英語で会話するご家庭ではなく、日本語の環境で、家の中でもご両親が日本語を話す環境で学ぶ方むけです。
親はどういうスタンスで子どもに寄り添うべきか?がわかる。
日常会話ができればいいのか、それとも高い英語能力を目指すのか、どの資格を取るべきなのか、臨界期はやっぱりあるのか、どう学習につきあえばいいのかなど、親としてどう子どもに伴走していけばいいのか、ということが書かれています。
中途半端な英語ではもったいないんだな!と思いました。
著者・斉藤淳さんについて
2012年までアメリカ・コネティカット州イェール大学で比較政治経済学の研究者をなさっていた方。
イェール大学は世界トップクラスの高等教育機関(アイヴィーリーグ校の一つ)です。
そこで、日本人留学生がけが圧倒的に英語ができない!という現実を知り、何とかしたくて、日本に戻ってきて、一度衆議院議員になろうとし、その後東京・山形で英語塾を開いたとのこと。
立ち上げた塾J PREPは4年で3000人の生徒が通う人気塾になったそう。
一度社会を変えようと衆議院議員になろうとしたくらいですから、本当に危機感を持っていらっしゃったんじゃないかとみて取れます。
こんな人におすすめ!
英語ができるだけの子になってほしくない!世界のどこでも幸せに生きられる本当の頭の良さを身に着けてほしい!方。
母語を鍛えるために英語をあえて学ばせていない親御さんも、英語を早期からお子さんに学ばせている親御さんでも、皆さん共通して思うことなのではないでしょうか。
英語を率先して学ばせている親御さんも、決して母語をおろそかにしようと思ってやっているわけではないし、むしろ母語もしっかり育ってほしい。
皆さん、同じようなことで悩まれるんだな、と安心したとともに、英語を学ぶ過程が、論理的に考え的確な言葉で表現する力を身につけてくれるなんて。
なぜ、英語が論理的な思考力を身につけてくれるのか、その理由について、科学的な根拠から説明されています。
正しい英語学習法とはなにか、知りたい方。
自分の子どもの今の状態では、どのような学習方法が有効なのか、今後、どのような学習方法が視野に入ってくるのかがわかります。
役に立ったところ。
「英語を身につけるための常識」の確認
やはりフォニックスは大事。
目で見て、耳で聞いて、口で言う。断片でなくかたまりで覚える方法とは。
CLIL教育 “英語で学ぶ”が大事。
ロードマップ
実践編の中に、子ども英語のロードマップの表があります。
- 何歳はどんな特徴があるのか
- この年齢はどうアプローチしたらよいか、
- 聴く・読む・書く・話すはどのタイミングでどのようなことに触れさせたらいいのか
- 資格試験はどこらへんで…
ということがひとまとまりになっています。
「年齢に合わせた興味」は、モンテッソーリ教育でも大事にしている理念と同じ考え方。子どもの興味に合わせて無理なく子どもに英語を提供できるという意味でも、共感するところが多い表でした。
息子もこれに準じて成長している感じがしますし、私自身あまりこの枠から反れないよう参考にしながら進めています。
英語を身に着けるための常識
よく言われる「臨界期が来たからもう遅いのでは…」や、「ちょっと日常会話ができればいいわ」とか、「英語だけ話せても使えない人多いし…」などという、巷でよく言われる疑問について、答えを挙げてくださっています。
「英語を習わせていて…」と話すと、大体「英語より論理力を鍛えるほうが大事っていうし」とか「英語だけ話せても使えない人多いし」とか「話せない親が頑張るんだよね」とか「中学からでも英語は十分間に合う(英語力はあまり重要じゃない)」などマイナスな意見を言われることが多かったです(涙)
そういうわけじゃないんだけどなあ…と思いつつ、なんとなく肩身が狭い気持ちでいたのですが、この本は納得するところも多く、とても勇気がもらえました。もし同じことを言われてもやもやしている方がいたら、ぜひ読んでほしいです!
年齢に合わせた詳しい学習方法
参考資料や、動画、本、ゲーム、テキストなどが、年齢ごとに分けて詳しく書かれています。
この参考書や実践方法をみるだけでも、とても参考になります。
海外一流大学に入るために必要なこと
=つまり、世界で通用する人、と書かれています。
①英語力 ②学力 ③社会への貢献力。
本当に「頭の良い子」「どこでも幸せに暮らしていける子」とは、どういう力を身につけるということなのか、3つ端的に表していらっしゃいました。
最終的には「社会への貢献力」。
こちらもモンテッソーリの考え方と同じです。
③は日本人に欠けがちなところです。英語を学びながら、こういうところも伸ばしていける方法にも触れていました。
もくじ
Prologue なぜ英語が「本当に賢い子」を育てるのか
Part1 基本編
Chapter1 英語を“自分で”学べる子に育てる—【発想転換①】「文字」ではなく「音」から学ぶ
Chapter2 「英語のアタマ」をわが子に授ける—【発想転換②】「断片」ではなく「かたまり」で学ぶ
Chapter3 「ただの英語上手」で終わらない—【発想転換③】「英語を」ではなく「英語で」学ぶ
Chapter4 優秀な親ほど誤解する5つのこと
誤解1 片言でも会話ができれば十分
真実 「幼稚な英語」だと損する!
誤解2 学校の「英語」と「英会話」は別物
真実 本物の英語力があれば、入試もカンタン
誤解3 12歳では手遅れ。幼児から英語教育を!
真実「臨界期」は仮設。焦る必要なし
誤解4 それでもバイリンガルに育てたい!
真実 通常の英語学習で「頭のいい子」は育つ
誤解5 私は手遅れ。とにかく子どもの英語力を!
真実 子どもは親の「学ぶ姿勢」を見ている
Part2 実践編
Chapter5 「英語が大好きな子」を育てる再考の環境づくり
Stage1 英語で「遊んで」好きになる
Stage2 英語が「気になる耳」になる
Stage3 英語にも「文字」があると気づく
Chapter6 「英語に自信がある子」になる最高の生活習慣
Stage4 英語の「音と文字」を結びつける
Stage5 英語で「コンテンツ」を楽しむ
Stage6 英語にも「ルール」があると理解する
Chapter7 「英語で考える力」が身に付く最高のサポート
Stage7 英語の「全文法」をマスターする
Stage8 英語で「知性と教養」を磨く
Epilogue 「世界で通用する人」とは?
まとめ
英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ。
本物の英語(B2レベル)や学力を身につけるために、週一1時間の英語教室に通わせるだけでは到底賄えないということが分かります。
この本は、第二言語習得の理論から、親の私たちが、実践すべき年齢別の具体的なオススメの学び方まで載っていて、今すぐ実践できることもたくさん書かれています。
理論を知り、次にやることや目標にすべきところも提案してくれる、道しるべ的な本です。
英語教育の本についてはある程度読んできたように思いますが、この本は私の中で英語教育の指標にしているおすすめ本!
子どもが成長したら読み返していきたい本なので、Kindleで買っちゃったけど、紙で買ってもよかったな~
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